もう少しで本編終了。
大法廷
ヱリカとベルンのチェックメイト宣言により、残りの儀式をすっとばして結論部に向かう。「大法廷」にて論戦開始。
どこ、ここ?
メタベアト(元気の無いやつ)以外は全員出てくるので、ゲーム盤世界・中間世界・メタ視世界でいえば中間世界にあたると思われる。ただしさらに後の展開ではメタベアトも登場してしまうため、どこの世界だとかどの次元だとか考えるだけ無駄かもしれない。
実際のシーンはないが、メタベアトと下位ベアトが同時に存在することもできるかもしれない。(EP4ではベアトが二人いて会話するシーンもあった)
思考制限
でも、なぜか、誰もそこがどこかを不思議には思わなかった。
不思議に思う権利を、与えられていなかったからだ。
「不思議に思う権利」とはまた変わった言葉である。全員が「大法廷」について不思議に思わない。
キャラの思考に制限がかかってるんじゃないか、というのは私も昔から言ってることではあるけど、こうして文章化されるとなんともいえない気分である。物語の都合が剥き出しになって、キャラがどんどん
人形じみていく。
答え合わせ
ラムダ「お前たちのこのゲームにおける生と役割はおしまい!第5のゲームはこれにて閉じられ、24時を迎えての答え合わせとなるわ!」
ラムダが全ての問題を提示するまえに、ベルンたちは答えが分かってしまった。だから残りは必要ないということだろう。話が早い。
異なる真実・現実とゲーム盤世界の因果関係
戦人:理解する。これが、六軒島の物語の作り方なのだ。
?「両者が主張する限り、異なる真実が同時に存在できる」
?ワルギリアが例えてくれた、ブラウン管裁判の法廷が、まさにここなのだ
ワル「ゲームマスターのラムダデルタ卿が納得したなら、その真実の真贋は問われない。最後に残った真実に基づかれ、続く世界が紡がれる。その最後の真実が、本当の真実とどれほど掛け離れていようとも」
このあたり、「うみねこ」の世界観を端的に説明してるように思います。
EP3を思い出してみると、
「ゲームマスターであるベアトリーチェが納得したから現実に絵羽が犯人として確定した」という風に解釈することになりそうです。
ただし、
ゲーム盤世界でのベアトや戦人の行動が「現実」に影響すると考えれば
「魔法の実在」を認めることになるので、実際の因果関係は逆のはず。つまり、絵羽が生存した世界という「現実」があるから、ゲーム盤世界で絵羽が犯人になったということ。
しかし実際の因果関係がそうであっても、
「作品上の見かけの因果関係」は「ゲーム盤世界→現実」という風に解釈しても、事実上問題はないのかもしれないです。
どういうことかというと、現実にあらゆる「六軒島事件の結果」の可能性が存在しても、その全てを作品上で描写することは不可能であり、結局は
「ゲーム盤世界の結果」を反映したように見える世界しか登場しないと考えられるからです。
だから極論すると、もし
「ゲーム盤世界で全員生存する“真実”を構築できれば、現実世界において全員生存するパターンが描写される」ということになるんでしょう。
おそらくは、これが
戦人の最終目標になるんじゃないですかね。
「事実の究明」ではなく「都合のいい真実の構築」です。
それを目標とするなら、戦人はEP1?4の犯人を究明しない方がいいんでしょうね。なぜなら究明してしまうと、それが真実となって、現実に“なってしまう”わけですから。究明しない限りは、分からないままです。
この世界観は「ひぐらし」の逆のパターンといえるかもしれません。
「ひぐらし」では超能力が現実に存在するという設定のようなので、梨花の超能力によって、梨花にとって都合のいい世界が最終的に選ばれた。しかし、梨花が切り捨てた世界には「その後の世界」がちゃんとあって時間が続いてます。
「うみねこ」では超能力が現実に存在しないようなので、戦人たちがゲーム盤世界で何をしようと現実には何も影響しません。ただ、作品上では戦人たちの行動の結果が反映された世界が登場することになるはずなので、
見た目上は「ひぐらし」の梨花の場合と変わらない結果になるでしょう。
また、「ひぐらし」でも超能力は存在しなかったと考えることもできるんです。全て梨花の内面の出来事であり、最終的な結論部以外は夢オチだったとする説です。(参考)
【ひぐらし】 「うみねこのなく頃に」で考える「羽入」のこと - 雛見沢研究メモ(仮) だから、いくら「魔法が現実に影響を与えた」ように見えても、夢オチで済むなら「魔法はなかった」と言い張れるんですよね。
ヱリカの変態的行動と作業時間
何かが起こることを予見して扉にガムテを貼るとか、窓にガムテを張るとか、あるいは一晩中壁に耳を付けて隣の部屋の音を監視するとか。
ヱリカの視力は写真並?ヱリカの耳は録音機?魔女の力身に付けた?変態探偵古戸ヱリカ?♪
ヱリカは、あの雨の中、?外側から全ての窓に封印をしたのだ。
自ら壁をよじ登り、?いや、侵入口となり得る、全てのものに。
?毒蜘蛛のように見えただろう。嵐のゲストハウス外壁を不気味に這い回る、おぞましい毒蜘蛛に……
怖い。体力も並の人間じゃない。
ヱリカ「事件発生前に何の準備もしない探偵は、私から見れば三流かと。逗留先で人が死ぬと、私たちは知っているのだから」
三流というかただの変質者ですね。自衛のためだ!とかいって普段からナイフとか持ち歩いてるような、危ない人と一緒です。
ヱリカは過去に高確率で殺人事件の現場に居合わせたのだろうか。「どうせまた今回も事件が起こるんだろ?」とか言いながらトラップを作る探偵とか嫌すぎます。疫病神の自覚があるなら家から出るなと。そういうミステリもありそうだけど。
ヱリカの変態っぷりはいいとして、
作業時間が謎なんですよね。この問題は完全に無視されてます。
ヱリカにどのぐらい作業時間の余裕があったのかは知りませんけど、あんまり早すぎるとそりゃもうニンゲンじゃないですし。金蔵の飛び降りよりリアリティがないかもしれない。
ラムダが赤で保証するから一定の説得力が出るだけで、それが無ければツッコミどころ満載でしょうね。
夏妃は犯人ではない・誰も犯人ではない?
ワル「有限の魔女、ワルギリアの名において。いえ、先代の魔女、ベアトリーチェとして、あなたに赤き真実を託します。(赤字)右代宮夏妃は犯人ではない!」
と言ってしまうワルギリア。
これについてなんですけど、ひょっとすると実際は
全員分「犯人でない」と赤で言えてしまうんじゃないかと思うんですよね。前にも同じことを書きました。ただそれを実行するとベアトリーチェ側にとっては自殺行為なのでやらないでしょう。
つまりこう。
「
(赤字)このゲームには明確な犯人役が最初から設定されていません」
だから、ヱリカたちが夏妃が犯人と確定すれば実際にそうなるし、戦人が自分を犯人として確定すればそうなる。どっちでもいいんですよね、結局は。
このゲームは、ゲームマスターが用意した世界の中で、それらしい「真実」を作ることが目的。魔女側は魔女にとって都合のいい真実を。ニンゲン側はニンゲン側にとって都合のいい真実を。
またニンゲン同士であっても、自分にとって都合のいい真実を作ることができる。そして真実が1つに決まってしまえば、それに基づいた「現実」が描写される。
だからベアトからこんな言葉が出てくる。
ベアト「この世に、真実などない。それは後から作られ、上書きされるのだ。本当の真実なんて、どこにもないのだ……」
ユーザーにとってでも、ウィッチハンターにとってでも、未来の縁寿にとってでもなく、駒たちにとって、特に
戦人や真里亞にとって最も都合のいい真実とは何か。
それはベアトリーチェにも罪を背負わせず、人間にも誰一人罪を背負わせないことだと思います。つまり
人の世の罪からの解放。(「ひぐらし」祭囃し編より)
?誰一人、罪を背負い込んで泣かなくていい。
全員が手を取り合い、罪を赦せる世界。
人が生きる以上、垢が沸くように罪も湧く。
大切なのは罪を沸かせないことじゃない。罪を赦すことなのだ。
罪に対して潔癖であろうとするから、より世界は醜く歪むのだ。
罪を、受け入れよう。
そして、みんなで赦そう。
それが、古手梨花が見つけて至った、完成された世界。
それは、1人を敗者にしなくてはならない、人の世の罪からの解放。
「うみねこ」における「赦し」とは何か。それは、現実に誰が犯人かという問題でなく、誰も犯人でないと“思う”こと。ゲーム盤世界が現実でなく内面の世界であるなら、なおさら、そこに「犯人」を求めてはいけませんよ、とまぁそういう風にお話が繋がるんでしょう。
重要なのは、
どうせ戦人は誰が犯人でも認めないだろうってこと。結局否定してかかるわけだから、話がそっちに進むのはしょうがない。
そのオチがユーザーの望むものかどうかは別として、作中のキャラにとっては都合がいいはず。「うみねこ」ってのはそういうような物語なんじゃないですかね。多分。
ベアトリーチェのあり方
ベアト「妾は夏妃を見捨てぬ!?誰かが夏妃を信じねばならぬからだ!真実とは、疑う者と信じる者の狭間にこそ見つけ出せるからだ!」
ベアト「誰もが夏妃を犯人と信じるなら、それでも妾は魔女が犯人であると主張する…!!それが主張できぬなら、妾の存在価値などそれまでよ!」
という具合に、やっぱりベアトリーチェは
人の罪を背負おうとするんですよねえ。自分を犠牲にして、誰かの名誉を守ると。
私も自分で書いた
【うみねこ】 EP3の2周目完了 -人の世の罪・邪悪な魔女の役割etc.- - 雛見沢研究メモ(仮)のあたりのネタを否定するような記述を探そうとはするんですけど、どうも強化するようなネタばかりが出てくるんです。もうこれは、こっちの方に話が流れるのはしょーがないのかなという感じ。
唯一の真実
?もっとも説得力ある真実が、全てを飲み込み、……唯一の「真実」に昇格する。それが本当の真実と異なるものであっても。
?
こうして、この物語の“真実”は、決定した。
これも一緒ですね。重要なのは、これをゲームマスターであるラムダが認めたってことです。夏妃は犯人でないと赤があるにもかかわらず、認めちゃうんですよ。
だから、
「このゲームは誰が犯人として設定されているかを見つけ出すのが目的ではない」といえます。
ならそもそも唯一の真実とか、ただ一人の犯人とか、そんなものが設定されている必要すらないんですよね、これ。
だってそんなことを考えなくても、ニンゲンが勝っちゃうんだもの。だから本当の犯人なんて、事実上不要なんですよ。
つづく
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