雛見沢研究メモ
ひぐらしのなく頃に・うみねこのなく頃にの考察・ニュース

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【うみねこ】 ある物語の系譜 -受け継がれ変わり行く物語の物語- 

 似たようなことは今までも書いてきましたが、改めて。ちょろっと図もつけてみたり。
 EP2のプレイメモを書いている最中に思いついた話が広がりすぎたために、分割したもの。
 「悪食島」関連の話が出たところで横道にそれたら戻れなくなった。

 神話や伝説のように、「ベアトリーチェの物語」も様々な大小の物語を受け入れて変質しながら受け継がれ、あるものは消えあるものは広まっていくというのが根本。
 その系譜を考えることで、現在の「ベアトリーチェの物語」ひいては「ベアトリーチェ」自体に迫れないだろうか?というネタ。

ある物語の系譜


skeifu20090811
 まず金蔵や熊沢が持つ「物語」の元ネタがあり、そこから伝播し、混ざり合い、今「うみねこ」の中で激しく変化しているゲーム盤世界へ。金蔵時点の純粋なベアトリーチェの物語と、熊沢の話が混ざったもの、それ以降の物語の中身が変わっている点に注意。
 そして事件後、生存した絵羽により新たな物語が作られる。また魔導書や日記から縁寿が物語を受け継ぐ。
 世間ではマスコミやウィッチハンターたちが、ボトルメールやその他の情報から物語を受け継ぐ。
 この流れの中で物語は変わり続ける。

魔導書と魔術師について


「魔導書」とは、多くの物語を集めた本。
「魔術師」とは、物語を作り、伝える者。

 こういう風に考えたのは、EP4のTIPSで改めて「魔導書」の項目を見たときでした。
今日、世界で最も有名な魔導書?ただ単に「本」とだけ呼ばれている。
 言うまでもなくキリスト教と聖書のことでしょう。「うみねこ」における「魔法」のあり方は、宗教にたとえるのが最も近いのだと考えられます。
 聖書は私が知る限り、多くの物語で構成されています。そう「物語」です。
 
 真里亞がEP2の薔薇庭園でハロウィンについて語ったように、宗教的な物語は様々に形を変え、現在に伝わっています。それはベアトリーチェに関する物語も同じ。

 次に思い出したのが熊沢でした。六軒島の伝承などを子供たちに語って聞かせる熊沢。
 EP2では祠の消失を受けて、熊沢なりにそれを解釈し朱志香に語っているようでした。
 物語を作り、伝える者。要するに布教活動をするキャラってことですが、「うみねこ」の作品世界にたとえれば、それは「魔術師」です。
 魔術を使うというより、物語を受け継いで、作り、伝える役割を持つキャラクターです。

二人の魔術師:金蔵と熊沢


 1986年現在、ベアトリーチェについての物語には、真里亞が大きく関与しているように見えます。
 真里亞だけを特別扱いし黄金郷へ行くことが約束された「ゲーム盤世界」において、真里亞が重要でないってことはないでしょう。
 その真里亞に影響している物語の出所はどこか。大きく二つあると考えました。
 
 まずは金蔵。
 何十年か前まで「ベアトリーチェの物語」は金蔵のものだったかもしせんが、使用人たち・金蔵の妻・金蔵の子供たちに伝わり、彼らによって様々な要素が付け加えられ、あるいは変質していきます。
 何か不思議なことがあると「ベアトリーチェのせい」だとされ、森に住んでいるとか、夜になるとやってくるとか、本来存在したのかどうかわからないような設定が「物語」に追加されたりしました。
 そして子供たちの世代にまで伝わることになったわけです。
 金蔵が六軒島にやってくる前、おそらくは当主となった時期に作られただろう「ベアトリーチェの物語」の系譜の話です。
 しかし金蔵が作った物語は、EP2の戦人がそうであったように割と忘れられがちになっていきました。そこで忘れられないようにと作ったのが、肖像画なんでしょう。

 もう一人重要なのが熊沢。私は以前、熊沢=ワルギリアと考えました。
 物語を作り、伝える者が魔術師であるなら、熊沢は間違いなく魔術師です。
 EP1から右代宮家の住人たちを観察し、頭の中で物語を作っている熊沢。
 また、EP1の船では六軒島にからんだ伝承を語って聞かせようとしたり、EP2では朱志香に「悪食島」の話と、ベアトリーチェの話をしたり。様々に活動しています。
 この熊沢の話を子供たちなどが聞くことで、元々ベアトリーチェしか登場しない物語に、六軒島の伝承が混ざるようになったと考えられます。
 その影響によって、紗音が鏡を割るだのなんだのという「物語」が登場することになったと解釈します。

物語の融合と変化


 熊沢が六軒島の伝承とベアトリーチェの物語を融合させたという根拠が、EP2のこれ。
「六軒島は太古の昔、小豆島と呼ばれて恐れられてきました。?本当は悪食島と呼ばれていたのだと、漁民たちの間では伝えられておりました」
「悪食島には悪霊が住み着いていて、太古の昔から人々の魂を食らい続けてきました。この島に関わり、命を奪われた人間はあまりにも多いのです」
「その鎮魂の社はこの夏、暗き闇夜を引き裂く紫色の不気味な雷で打ち砕かれたとか」
「眠りから目覚めた悪食島の悪霊が、ベアトリーチェさまを呼び寄せたのです」
 ベアトリーチェの話と、六軒島の話が熊沢の中で独自に解釈され、混ざり合って、別の話になってるようなんですね。

 一つポイントとして、熊沢がEP2で朱志香に語った「悪食島」がらみの話は、紗音が鏡を割るエピソードとは食い違ってます。
 熊沢の場合は1986年?の夏に雷で社が失われ、悪霊が復活して、ベアトリーチェを呼び寄せるとか。
 紗音の場合は、ベアトリーチェが出てきて鏡をわれ指示され実行し、ベアトリーチェが力を取戻す。
 同じベアトリーチェに繋がる「物語」でも、過程が違うんです。
 「紗音解釈」と「熊沢解釈」とでもいいましょうか。
 二つの異なる物語はぶつかって変質するか、どちらかが残ってどちらかが消えるかするでしょう。
 EP2のゲーム盤世界では紗音のエピソードがずっと影響してくるので、メインで残ったのは「紗音解釈」でしょうね。
 しかし夏妃の「鏡」の話が出てくるあたりは、「熊沢解釈」も完全に消えてるわけではないかも。

現在の物語のあり方


 現在のベアトリーチェに関する物語・・・ゲーム盤世界の出来事は、真里亞に大きく影響されているように見えます。
 しかし、決してそれだけではなく、熊沢が現在進行形で物語を作り続けているように、恐らくは色んな人の影響を受けてリアルタイムで変化しているだろうってこと。

 多分、今のゲーム盤世界は、現在「ベアトリーチェ」と「魔法」を知る者たち全員によって共同で形成されてる幻想なんじゃないかなーとか。
 つまりはそれがベアトリーチェの正体ってこと。人ではなく魂もなく愛も知らない家具。
 複数の人間がベアトリーチェや魔法の物語を持ち、それぞれに解釈も違って、複数のベアトリーチェの正体がある。そして複数のルールがあるというわけ。
 大小さまざまなベアトリーチェと魔法にまつわる物語、あるいはイメージが寄り集まり、一つの大きな「物語」を形作っているのでは。

 例えば、紗音が鏡を壊す話。あるいは絵羽の“私”の話。
 真里亞がワルギリアから飴玉をもらう話。さくたろが人間化する話。
 祠が壊れた話。六軒島の伝承、地元の漁師たちの話。
 使用人たちの黄金の蝶などに関する噂話。
 親たちが伝え聞いた魔女の話。子供たちが聞いた話。
 楼座が九羽鳥庵で出会ったモノの話など

 あるいは今まさに死のうとしている六軒島の住人たちがその原因に「ベアトリーチェ」を想像したとき、そこにベアトリーチェの新しい物語が誕生してしまうでしょう。それが「私はだぁれ?」の正体かも。

真里亞以降の伝播、称号の継承


 ベアトリーチェの物語は、真里亞が死んだ後にも消えずに残ってます。
 主に魔導書や日記と言う形で縁寿が受け継いただり、マスコミに報道されたり、ウィッチハンターたちの間にも伝わってます。

 ここで考えるのは「ベアトリーチェの称号の継承」についてです。
 ベアトリーチェの名前を受け継ぐってことは、ベアトリーチェに関する物語の主役になるってこと。
 以降、その新たな「ベアトリーチェ」を主役にした物語が展開されていくことになると考えます。
 エヴァ・ベアトリーチェが受け継げばエヴァの。エンジェ・ベアトリーチェが受け継げばエンジェの物語が新たに始まる。
 そしてまた、ベアトリーチェの名前を継ぐと言うことは、大きな力を持った魔術師になるってこと。魔術師=物語を作り、伝える者です。ベアトリーチェの称号を継いだ者が生きた人間であるなら、その後の「ベアトリーチェの物語」を自分自身で伝えていくことにもなるんだと思います。
 
 特に考えたいのが、エヴァが登場したEP3です。
 魔術師たちが死に絶え、大きな力を持つのがエヴァだけになってしまう。
 金蔵は最初から死んでるし、熊沢=ワルギリアもベアトが倒してしまいました。
 真里亞も死んだし、無限の力も先代ベアトから受け継がれた。
 先代ベアトリーチェもワルギリアも何もできず、エヴァは好き放題に暴れ始めます。

 その中でエヴァは、碑文の儀式の手順を無視して、七杭をないがしろにしました。
 七杭を重視したのは先代の金髪のベアトリーチェ。儀式の実行を重視したのは金蔵ですね。しかし彼らが力を失った後、好き勝手に新しいベアトリーチェ=エヴァが「物語」を書き換えてしまうんです。エヴァが作り出す物語の中では、碑文なんかもうどーでもいいんですね多分。
 

メタ視世界には違う系譜がある?


 メタ視世界も、現在のベアトリーチェの物語の一部として捉えて多分問題ないとは思うんですが、ちょっと毛色の違う要素が混じってますね。
◆ベルンカステル・ラムダデルタのような「ひぐらし」から継承されていると思われる要素
◆EP1メタ戦人の「うみねこのなく頃に」という物語とユーザーを認識してると考えられるメタ発言
◆ベルンカステルのメタ発言
 といったあたり。
 このメタ視世界を作ってるのは、作中の真里亞たちのようなキャラクターではなく、作外の人間だと思うんです。リアルの人間です。
 「ひぐらし」という物語を知ってて、「ひぐらし」の要素と「うみねこ」を融合することが可能な人間・・・そんなことができるのはもう作者竜騎士07氏だけ。いっそのこと、「竜騎士07ワールド」と呼んでみてもいいんじゃなかろうか。
 戦人のメタ発言がアリなら、その程度のネタはアリなんじゃないかと。
 多分、ゲーム盤世界や、「うみねこ」の現実世界とは切り離して、別物と考えた方がいいです。

忘れ去られること

 
EP2ベアト「?妾の存在など夢か幻のように消し去ることもできよう。忘れ去られることほど妾に悲しいことはない」
 ベアトリーチェが忘れ去られることを辛く感じるのは、宗教上の神のような形で成立しているからでしょう。忘れ去られれば消えてしまうしかないんです。
 ありがちなファンタジー設定で、人から祭られなくなると力を失ったり消えたりする「神」の姿がよく他の作品に出てきたりします。あんなもん。

 このことを踏まえて、EP4のTIPSのマリアージュ・ソルシエールの項目にある「魔力の衰えていたベアトリーチェに絶大なる新しい魔力を与え?」という部分を見ると、「忘れ去られかけていたベアトリーチェの物語を、真里亞が受け継ぎ、復活させた」という意味に解釈できます。

 EP2薔薇庭園で戦人が真里亞に対して「ベアトリーチェってなんだっけ?」的な発言をしたときに怒ったのもこのため。ベアトリーチェの存在を思い出させるというのが、真里亞の大事な役割。そうしないと消えてしまう。
 六軒島にベアトリーチェの話を広めた・・・最初に「ベアトリーチェの物語」を作ったのは、右代宮金蔵。しかし今、金蔵の物語を真里亞が受け継ぎ、変質させて現在のベアトリーチェが存在するという解釈。そこにはワルギリアだのロノウェだの、おそらく金蔵の物語には登場しなかっただろう多くのキャラが目白押し。
 真里亞という一人の魔術師のある種の布教活動によって、ベアトリーチェという「物語」は再び力を得る。それがあのシーンの意味だと考えます。
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