ちょっと引っかかるポイントを見つけては、そこに“何かあるんじゃないか”と疑う。そしてそこに、何らかの特殊な要因を想定しようとする。「ひぐらし」の頃からよく見られる現象です。
例えば鬼隠し編の圭一やレナの精神状態の変化に、精神病理や薬物、果ては伝奇ファンタジーのような設定を考え出したり。
そうやって想定した特殊要因に、どうにかして物語全体を当てはめて自説を証明しようとしたり。
「うみねこ」でも似たようなことはよく見られます。何を隠そう私もやってることで、別に特別なことではありません。
しかし、このことについて大きく二つ注意しておきたいポイントがあります。主に自分用にメモ。
?それはただの「偶然」ではないのか
「どうみても何かありそうな現象なのだから、何か特別な要因あるはずだ」という思い込み。
その思い込みからくる仮説を証明するために、どうにかして証拠を集めようとしたりする。
でも実際には、自分が引っかかりを覚える全てのポイントに何か特殊な要因がキッチリ想定されている……などということは、無いと考えた方がいいです。
実際に特殊な要因が絡んでいる場合もあるし、ただの「偶然」でしかない場合もあります。
(関連)
【ひぐらし】 考察における三つの“諦め”と、「謎」との“別れ” - 雛見沢研究メモ(仮) 例えば「ひぐらし」でいいますと……
◆「特殊要因アリ」
・「背後の気配」について。複数のキャラに共通する主観的体験。いくらなんでも何かあるはずだ
→実際に雛見沢症候群や羽入といった要因が絡んでいたことが明らかに
・「喉掻き毟り」について。
→症候群や特殊な薬物によるもの
◆「特殊要因ナシ」
・祟殺し編で祭りに行ってないはずの圭一の行動に魅音たちが言及。他編の内容とほぼ完全に一致
→その後、何の説明もない。特殊な要因が絡んでいるのか、ただの「偶然」なのか区別はつかない
・毎編大石が学校に事情聴取にやってくるが、そこで呼び出されるキャラはその編の鍵となる人物である
→何かありそうに見える。しかしただの「偶然」以上のものは特にない
・赤坂雪絵の死
→雛見沢症候群も、東京も関係ない。ただの偶然の事故。しかし、いかにも何かありそうに見える
などなど。列挙してればキリはないでしょう。
「うみねこ」でもやはり似たような形になっていることが考えられます。
例えば、
「黄金の蝶の目撃」は、複数のキャラが体験していることなので、これを見るための何か特殊な要因がありそうだと考えられます。
しかし今のところ、その要因がなんであるかを特定することはできません。
あるいは、
「なぜか生き残った親がそろって金蔵の銃を入手する」ということについても、何か特殊な要因がありそうではあります。しかし、ただの偶然かもしれません。
今のところそれを区別することはできません。
「何かありそうだ」と自分が思い込んでいるポイントに、実は何もないということもありうるのだということを、自覚しておきましょうということです。
?それは「代替可能」ではないのか
何かそれらしいネタを考えつくと、それを唯一代わりのない真理のように思い込んだりする。
しかし、実際には
「同じ現象を起こせる別の何か」に入れ替えても、別に何の問題もなかったりすることはよくあります。
たとえば「ひぐらし」の「雛見沢症候群」について、この原因を寄生虫だと思い込んだキャラがいました。罪滅し編のレナです。
また、本編の設定では羽入をはじめとした未知の存在によるものということになってます。
しかし実際には、
少なくとも公式に決定されている設定が発表されるまでは、同じ現象が起こせるものなら他のナンでもよかったんです。
別に寄生虫だろうが薬物だろうが霊や魔法や神や悪魔だろうが、ナンでもいいんです。
区別なんかつかないし、特定することなどできません。 「うみねこ」で言えば、上でも例にとった
「黄金の蝶の目撃」に関して、その現象を起こす要因を色々と想定する場合が考えられます。
「ひぐらし」の二番煎じのようなナントカ症候群でもいいし、未知の薬でも魔法でもいいです。
どれでも一緒です。 まとめて
「謎の要因X(エックス)」とでも呼べばいいんじゃないでしょうか。
分からないものは「分からない何か」でいいんです。
無理に特定して、それが当たっていたとしても、それはただの偶然の「当たり」であって、カンが当たったに過ぎません。少なくも理屈ではありません。
それはそれで面白いし楽しいので、それ自体を否定するつもりは毛頭ありません。しかし、自覚していないと妙なディティールにこだわって全体を見失うこともあるかもしれません。
時には
「事件の黒幕」ですら代替可能なこともあります。別に鷹野でなく、入江でもよかったんです。
「こいつが黒幕だ!」などと思いついたら、他のキャラにも同じこと・似たようなことができないか考えてみましょう。
「結局特定の条件をクリアしてれば誰でもいいんじゃん」と結論することになったりします。よくあることです。
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「ひぐらし」でもぎりぎりまで「最初は入江黒幕(共犯者)だった」と、竜騎士07さんも言っていましたし、
今現在の状況で「真犯人はコイツだ!」と、挙げるのはナンセンスだと私も思います。
それよりもこの世界のルールを暴きだし、犯行の原因と究明に取り組んだほうが賢明かと。
(まあ、これすらも製作者の胸先三寸なのですが(苦笑))