(最終更新:2008/07/16)
*ネタ記事注意!! そこで一つ雛見沢症候群と羽入に関する
偏らせた解釈の一例を。
祭囃し編は大団円でした。
みんな生き残れて万々歳。
しかし、その影でほくそえんでいる(?)存在がありました。
それがまんまと全滅を免れた
“やつら”です。
はびこる悪性生物。そして人類の敗北について。 以下長文。アニメからの人はネタバレ注意。
悪性羽入・種の保存と繁栄の策謀
羽入たちの定義
ここではいちいち「謎の生物」と呼ぶのが面倒なので、「寄生虫」と呼んでいます。
「寄生虫」=なんだかよくわからない謎の生物 ということでご理解ください。
設定の確認
原作での羽入とその一族に関する設定の確認から。
全て祭囃し編で分かる、「羽入が梨花に話した」という内容です。
・「元々住んでいた場所は梨花には理解できない」
→異次元?宇宙?
・「そこに住めなくなって雛見沢に移住した」
→住めなくなった理由は不明。
・「先住民を敬う掟がある」
・「羽入たちのいう共存とは、村人の“血に混じる”こと」
・「この村でしか生きられない」
飽くまで羽入の話でしかないこと、梨花が聞いたことでしかないことに注意してください。
羽入たちは許可なく村人の体に入り込んだ?
村人たちは、新しい共存者を受け入れるにはまだ未熟で、幼くて。
……それらを強く強く拒絶したため、……悲しく、無惨な事態を引き起こしてしまった…。(祭囃し編)
原作にはこうありますが、「最初に羽入たちを体に受け入れるまでの経緯」はよく分かりません。
村人全員に対して
「体に入ってもいいですか」
「はい、どうぞ」 というような流れが存在したはずもありません。
誰もが
「正体不明のワケの分からないものを体に受け入れる」なんてことを承諾するはずがないわけで。
であるなら、
勝手に体に入り込んだと考えた方が自然でしょう。
羽入たちは神主としか交渉していない
古手の神主は、羽入たちとの密約を交わした。
村人たちは「宿主」として神主に勝手に売られた。
神主が村人たちを売った理由は、羽入との間に子供が出来たから。
古手神社の神主は、流浪の民が血に混じることにより、村人たちが鬼に駆られてしまうならば、それは共存にあらずと、一度はそれを拒否した。
だが、…古手神社の若き跡取りが羽入を見初め、子宝を授かるに至り、神主は再考を迫られることになる。
…しかし、村はすでに多くの血を流してしまった。
羽入たちのせいで多数の村人が死んでいるようです。
こんな危険な結果を引き起こすなら、拒絶するのが当然。
しかしこの文章では、拒絶したのは
「神主だけ」なんですね。
村人たちがそれぞれ同意して体に受け入れたのなら、村人たちも拒絶するはずです。しかし実際に拒絶したのは神主だけ。
終始「神主」との間だけで交渉が行われていて、村人の意思の介入は一切見受けられません。
つまり、
神主は村人の意思を無視して勝手に羽入と交渉しているわけです。 挙句の果てに、神主は「子供が出来たから意見を変えた」と来た。
無茶苦茶ですね。 諸悪の根源は古手の神主だと言ってもいいかもしれません。
神主がどうしようもない男だったのか。あるいは羽入たちがたらし込んだのか。
調子に乗ってヤっちゃった神主が、後に村に地獄をもたらすことになるわけです。
仮に村人たちが、神主と寄生虫の交渉を知っていたとしたら?
受け容れる人間など、少数派でしょう。リスクを説明せず、よほど上手く騙せば別かもしれませんが。
そして「子供が出来たから考え直す」という神主に、誰が賛同するのでしょうか。「寄生虫との間に子供を作った」などという事実が、糾弾されないはずはありません。
それでも羽入たち寄生虫が今も村にいるということは、
「村人は何も知らされずに寄生虫の宿主にされた」 ということです。
子供が出来て心変わりした神主と、羽入たちとの密約によって、村人たちは売られたのです。
それが全ての悲劇の始まりだった。
羽入たちにとって人間とは家畜である
羽入たちには
「先住民を敬う」という掟があることになっていますが、これは欺瞞です。
村人を殺しているのにまだ居座っているわけですから、敬うも何もあったものではありません。
精々が、
「人間が食物になる家畜を敬う」のと同じような意味でしょう。
また、神主と交渉して居住権を得たような話になっていますが、見方によっては、神主を
たらし込んで村を売らせたようにも見えます。というか、そうとしか見えません。
洗脳しようが子供を作って脅そうがナンデモアリです。
その後長く村人たちを苦しめることになることを、羽入たちも神主も分かっていないはずはありません。どちらも悪魔だといわざるをえません。
羽入たちの欺瞞
羽入たち流浪の民は、この村以外では生きていけないこと。
そして村人との共存でしか生きていけないことを訴えた。(祭囃し編)
神主との交渉の際、羽入はこのように主張したようです。しかしこれは欺瞞です。
というのは、感染していたレナや夏美(鬼曝し編)が、村の外で生活していたからです。
確かに当時は無理だったのかもしれません。しかし、今では可能になっています。
「村の外では生きにくい」のかもしれませんが、生きられないわけではありません。
時間によって血を受け継ぐ人間も増えるわけですから、確実に生存圏を広げています。
自分たちの繁殖のために、時間が必要だったのでしょう。
着々と
侵略が進んでいるというわけです。
寄生虫本人たちに悪意があろうがなかろうが、やっていることはそういうことです。
感染経路の隠匿
羽入、感染経路を教えない→梨花や沙都子などを介して感染拡大
入江機関の症候群感染に関する研究が正しいという前提の話です。
この場合、梨花の周りの子供たちばかりがよく発症していた理由を考えるのは簡単です。
梨花や沙都子のような重度感染者の近くにいれば自然に重度感染してしまうでしょう。(参考)
【ひぐらし】 雛見沢症候群について ?感染と、悲劇? 梨花が「感染の経路を知らない」ということはありえても、羽入が知らないことはまずありえません。羽入=寄生虫自身ですからね。
梨花は感染について詳しいことを知らない(鬼編圭一の感染・発症を運が悪かったと表現)ようなので、「羽入が隠していた」と考えるのが妥当でしょう。
感染経路を教えたら、梨花が周囲から孤立したり、自殺でもしてしまうかもしれません。
何しろ、自分のせいで沙都子は一生直らないかもしれない病にかかり、悟史は今も昏睡状態で、いろんな世界で仲間たちが殺しあい続けてきたかもしれないわけで。
羽入たちの試練・悪魔を滅ぼす者たち
「雛見沢大災害・終末作戦」
羽入たちは、時々村人を発症させながらも、そこそこ平和に生きていました。
しかし
この生活を破綻させる外敵がやってきます。
それが「鷹野三四」や「入江京介」たち東京の連中です。
中でも最悪なのが鷹野の起こす「終末作戦」で、これで村人が全滅させられてしまいます。
寄生虫の視点で考えるなら、たまったものではないでしょう。
「村人の全滅=羽入たちの大分の死(村の外の寄生虫は生き残るかもしれない)」なわけですから。
梨花も殺されてしまい、自分の直系の子孫が絶えてしまうのも痛手だったでしょう。
発症した村人が殺しあって“多少数が減る”ぐらいは羽入たち寄生虫にとって何の痛痒もなさそうですが、さすがに全滅するのはマズイはず。
羽入の手駒
非常にあつかましく生きようとするのが寄生虫たちの生態。羽入がそこで諦めることなどありえません。
一時期羽入がループの脱出に消極的だったことがありますが、PS2版では「ネガティブなことを言って逆に梨花を炊きつけるため」だったということになっています。なるほど納得できない話ではありません。
しかしどうやら、羽入たちには人類に対する直接的な攻撃手段はなかったようです。
羽入たち寄生虫に何ができて、何ができないのか詳しいことは分かりません。
ただ、さしあたって自分たちを守ることに使える手駒は「梨花」一人でした。
羽入たちの抵抗・悪魔の本領発揮
無力な羽入たち
かなり長い間、梨花はほぼ単独で頑張っていたことが分かっています。
他人に頼ろうとしたこともあるようですが、ことごとく失敗したとか。
あるいは協力を取り付けても解決に至らなかった。
手駒である梨花を上手くたきつけて、とりあえず起死回生の機会を狙う羽入。
非常に執念深い生物だといわざるを得ません。
羽入の武器
羽入たち寄生虫の持つ武器は
「時間の巻き戻し」です。
こんなとんでもないことができるなら、人間に対する直接的な攻撃手段を持っていてもおかしくないんじゃないかと思ったりもするんですが、とにかくそれしか武器がない。
考えるほどに相当ヘンな存在です。
こんな力があるんだから、今までもこの力を使って生存競争に勝ち残ってきたんだろうと想像できますが……
特に戦いなれている風でもなく、死んでも死んでもやりなおす“ただ執念深いだけ”の不気味な生物たち。
しかし、この執念深さがじわじわと結実していきます。
手駒を集める
羽入には犯人を調べることもできたはずですが、それをしなかった理由はとりあえず置いておきましょう。
羽入がとった手段は
「手駒を集めること」でした。
前原伊知郎に対する、圭一を村に呼ぶための布石とか。
特に直接的な攻撃手段を持たない彼らの自衛は、“他人を利用すること”によってなされる。
さすがに
寄生虫と言ったところでしょうか。
最終的にはこのやり方で成功するんですが、結実するまでが大変でした。
手駒の発症
使えそうな手駒を引き入れたはいいものの、それが毎度発症してダメになってしまいます。
57年には悟史が、鬼編では圭一が、目編では詩音が、祟編では沙都子や圭一が発症しました。
羽入の目標は梨花の死や大災害の回避でしょうが、そのための手駒が使えなくては話になりません。
作中では羽入が発症者に謝っていた……ということになっていますが、
「チッ!使えないやつらなのです!!」 などと思っていても特に不思議はありません。
より多くの強力な手駒が必要。
しかし
自分たちの生態が、手駒をダメにしてしまうジレンマ。 羽入は苦しんだに違いありません。
手駒の成長
その使えない手駒たちが、だんだんと成長を見せ始めたのが「罪滅し編」からです。
圭一が、発症した仲間であるレナを元に戻すことに成功しました。
圭一たちは「相談しよう!」とか「仲間を信じろ!」みたいなことを言ってますが、要するに
寄生虫の扱いに慣れてきたってことでしょう。
身も蓋もありませんね。
寄生虫に慣れてきたところで、副産物もありました。
雛見沢症候群を克服すると、超人化する設定があったのです。→(参考)「鉛玉弾きの秀正伝説」
沙都子の超能力じみたトラップなどを、そうだと考えればいいでしょう。
もし羽入が「症候群による超人化」まで見込んでいたとしたら、これもまた悪魔の所業です。
最初からそこまで考えて「意図的に圭一たちに感染させていた」などということすらありえます。
戦え!寄生虫の宿主たち
雛見沢症候群が女王を中心にコミュニティを作る性質を持っているなら、圭一たちの「仲間意識」が、症候群に重度感染することによって発生していることが考えられます。
いわば
「仲間病」です。
(関連)
【ひぐらし】 おかしな雛見沢症候群 ?仲間菌? 寄生虫に感染し、洗脳されている圭一たち。
「仲間=他の感染者」を守るのは当たり前。
「女王=梨花」を守るのも当たり前。
仲間を守るために命をかけるのも当たり前。
個人の理由は関係ありません。
洗脳されているのですから。 皆編で兵隊相手に立ち向かっていった圭一たちの、
敵を恐れぬ勇気=イッちゃった精神状態の説明も簡単です。
女王を守る
寄生虫の宿主としての本能的な行動。
ただの
病気です。「部活の成果」とか、そんなもの関係ありませんから。
そこで「魅音だけ命乞いをした」……といわれることがありますが、むしろそれこそが正常な行動でしょう。
一度も発症したことのない魅音だけが、重度感染していなかったのだと考えれば、ごく当然の結果だといえます。
寄生虫に侵された仲間たちの中では、浮いてしまうというだけのことなのです。
人 類 の 敗 北
鷹野を撃退
このように羽入+梨花は仲間を集め、成長させ、ついに鷹野が犯人であることを突き止め、撃退に成功しました。
寄生虫が勝利し、人類が敗北したのです。 寄生虫に意識を侵され、“超人化”すなわち人間ではなくなった
宿主たちの村が、ようやく平和を取り戻しました。
「寄生虫の勝利=終末作戦の失敗」と「人類の勝利=終末作戦の成功」のどちらが人類にとってよかったのか。
そんな問いを置き去りにして、“やつら”は生存競争に勝利したのです。
そして、次なる敵へ
祭囃し編は表面上大団円で終結していますが、羽入たち寄生虫にとってはまだまだ終わりではありません。
入江機関による研究と、症候群の撲滅計画が待っているからです。 自分たちが滅ぼされようとしている。
なら羽入たち
寄生虫が取るべき行動は一つしかありません。
入江や入江機関の排除です。
しかし次回は鷹野のときのように「殺されるから自衛しよう」という理屈では通じません。
どうやって阻止するんでしょうか?
「症候群が駆逐されると梨花が死ぬ」とかでっち上げるんでしょうか。
それともひそかに別の場所に居を移す?
物語が終わった今、未来のことを知ることは出来ません……
追記
さて、今回のお話が偏った解釈であることはいうまでもありません。
「ひぐらし」は後半になるほど「仲間」「信じる」「奇跡」といったキーワードが顕著になっていく物語です。
しかし、
「人を狂い死にさせる危険な寄生虫に、人類が敗北した物語」として解釈することもできるわけです。
今回はそのことを、例示したに過ぎません。
最後に羽入が
ニヤリと笑って終わるようなホラーのようなものを想像して書きました。
このお話の目的は「祭囃し編を違った目で見てニヤニヤする」ということだけ。
間違っても「これが真のひぐらしの姿だ!」などと主張するものではありません。
- 関連記事
-