(最終更新:2007/07/27:罪編のみの情報で構成していましたが、あらたに全編の情報を組み込んで書き直しました)
??とはいえ「悪魔の脚本」が示唆する事実は、今回の世界が雛見沢大災害という運命に押しつぶされたということですが。
惨劇が回避されたのにも関わらず大災害が起きたということは、双方が別のブラックボックスであることの証ですね。ところで過去のシナリオにおいて、雛見沢大災害が確実に起きていないのが綿流し編と目明し編なんですよ。これらのシナリオだけが大災害を逃れている。もしも大災害が天災だとしたら、毎回同じ日に起こるはずですが、実際には起こる日に若干のずれがある上に、何らかの条件で起こったり起こらなかったりする。すると大災害が起こる理由という、新たなブラックボックスが見えてきます。その方程式は、綿流し編と目明し編に共通し、かつ他のシナリオとは異なる何か。このブラックボックスを探ることにより、いろいろな推理が可能になると思います。
(竜騎士07氏インタビュー:マガジンエルフィックス)
これは、
罪滅し編後に発表されたインタビューです。
このような認識でもって作品が作られているようです。しかし、この内容には問題があります。
ツッコミ1:鬼隠し編はブラックボックスである
◆綿・目編では大災害は起こってない→実は不確定
◆鬼隠し編では大災害は起こっている?→分からない
◆梨花が詩音に殺されると大災害が発生しない?→鬼編がブラックボックスなので不確定
梨花の生死と大災害の関係について
<梨花が鷹野たちより先に殺されると、大災害が起こらない> これが祭囃し編での対鷹野の切り札となった論理です。「緊急マニュアル第34号」の発見によって見出されたものでした。
これによって梨花を先に死んだことにして、鷹野たちの行動を妨害しました。
冒頭のインタビューでは、この論理に必要な情報が既に罪編時点で出揃っているかのように書かれています。
しかし、実際には情報は充分ではありません。
綿・目編で「大災害が起こっていない」ことを確定するには情報が足りない
過去のシナリオにおいて、雛見沢大災害が確実に起きていないのが綿流し編と目明し編なんですよ。これらのシナリオだけが大災害を逃れている。
まずこちらについて。
この二つの編(綿・目編)で大災害が起こっていないというのは、主に目明し編のスタッフロールから分かるようになっている事柄です。
竜宮礼奈
平成16年現在、生存。鹿骨市内在住。
前原伊知朗
平成16年現在、生存。東京都内在住。
前原藍子
平成16年現在、生存。東京都内在住。
富田大樹
平成16年現在、生存。鹿骨市内在住。
岡村傑
平成16年現在、生存。鹿骨市内在住。
知恵留美子
平成16年現在、生存。鹿骨市内在住。
この記述により、「大災害」は起こっておらず、村人が全滅することもなかったのだということが分かるようになっているわけです。
ところが、ここで挙げられた人物が“偶然”村の外にでも出ていたとでも考えれば、大災害が起こっていた可能性を否定するには至りません。
「鬼隠し編」が無視されている
これらのシナリオだけが大災害を逃れている。
続いてこの記述について。
「これらのシナリオ“だけ”」とあります。つまり、
「他の全ての編で大災害が発生していた」ということになります。
ところが、
「鬼隠し編」で大災害が起こったということが分かる描写は一切存在しません。 大災害があったのかどうかは、全く分からないのです。
「鬼隠し編」でも大災害は発生していないのではないか?
インタビューによれば「鬼隠し編でも大災害は発生した」ということになるはずです。
ところが、実際は「鬼隠し編では大災害は発生していない」と考える方がまだしも自然なんです。
というのも、
圭一が起こした事件の捜査が“ごく普通に”継続されている様子が描写されているからです。
大災害が起こっていたら、当然捜査は難しいでしょう。
この条件では、「実は鬼隠し編でも大災害が起こっていた」と考えるのは難しいと言わざるをえません。
具体的な記述はこんな感じです。
当初はあまりの不可解さに、衝動的な突発的犯行と断定していた。
だが、容疑者の犯行直前までの奇行が次々と露呈するに従い、その方針は変更されることとなる。
(略)
その後、容疑者の自室から直筆のメモが発見された。
(略)
容疑者が、何らかの事件に巻き込まれていた可能性があるとして再び捜査方針を転換した。
だが、その後なんの手がかりも掴めず、メモそのものの信憑性も疑われるようになる。
ここまで何日かかってるんでしょうか。1日?数日?1週間?もっと?
その間、どうやって捜査してたんでしょうか。大災害が起こったはずなのに?
あるいは起こる前にここまで進行したんでしょうか?
さらにこうあります。
だが……後年。
そのメモにひとつの不審が浮上した。
大災害無視でいきなり後年!
これで実は「大災害が起こっていた」と言われても困惑するだけです。
どこにも「大災害」に関する記述はないのですから。 「綿流し編と目明し編だけが大災害のなかったシナリオだ」とするのは、作品側・ユーザー側からは無理があります。
あくまでも、鬼隠し編と綿・目編はともに「大災害が起こったかどうか不確定」であるに過ぎません。
綿・目編で「確実に起きていない」といえるのなら、鬼隠し編でも同じことを言っても差し支えないのではないでしょうか。
梨花の生死と大災害の関係は不確定のまま
まず、そもそも
梨花の生死すら不明な編があります。それが
「鬼隠し編」です。
そしてこれまでに書いたように、
鬼隠し編及び綿・目編では大災害が起こったかどうか不確定です。
ゆえに、
「綿・目編で梨花が先に殺された場合のみ大災害が発生しない」とは言えないのです。
なぜなら、
「梨花が鷹野に殺された可能性のある鬼隠し編でも、大災害が発生していないかもしれないから」です。
「仮説を立てることは可能だった」のかもしれません。
しかし、それを確定的なことのように語ることはできなかったはずです。
そんなことができるのは、全てを知っている作者だけです。 ツッコミ2:自然現象は不定だ
大災害は起こったり起こらなかったりする→雨(天候・自然現象)も振ったり振らなかったりする→大災害が自然現象(天災)でないとは言えない
さらにおかしい理屈があります。
もしも大災害が天災だとしたら、毎回同じ日に起こるはずですが、実際には起こる日に若干のずれがある上に、何らかの条件で起こったり起こらなかったりする。
「天災だとしたら」は「自然現象だとしたら」という意味だと解釈してもいいでしょう。
なるほど、他の自然現象も一定であれば、こういうことも言えるかもしれません。
ですが、「ひぐらし」の「自然現象」は特に訳もなく起こったり起こらなかったりするものです。 例としては、
「祟殺し編」で圭一による鉄平殺害前後に降る「雨」があります。
他の編で、同じ日に同じように雨が降っている描写は特にありません。
雨が降ったり降らなかったりするぐらい自然現象が不定な世界ですから、
天災が起こったり起こらなかったりするぐらい不思議でもなんでもありません。 ゆえに、作品からの情報では
「大災害は天災ではない」とは言えないことになります。
そんなことが言えるのは、全てを知っている作者だけです。作者は脳内設定で話をしている
×考え方のヒント
○作者にしか分からない新設定の追加
要するにこのインタビューでは、ユーザーには知りようのない
“作者の脳内にしかない設定”によって、話が進められているわけです。
作者が言ってるんですから、理屈自体は正しいんでしょう。
しかし、実際の作品からその理屈の存在を推測することはできても、確定することなどとてもできません。
「大災害が起こっていないのは綿流し編と目明し編だけ!」
「起こったり起こらなかったりするのは天災じゃない!」 そんなことは作者以外、誰にも分かりません。 こんな理屈をユーザーが展開したとしても、さしたる根拠のない「想像」の一例として片付けられること請け合いです。
このインタビューでは、「作品の情報からこのように考えるといい」というヒントが書かれているように見えます。
しかし、
実は新設定が追加されて、新事実が判明していたわけです。
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殺し合います
それを阻止するため毒ガスをまいてふせぐのが大災害だから
鷹野より先に殺すと鷹野は死んだと思ってないからガスもまけないです